水を入れた漉き舟に離解した原料を入れ、よく馬鍬(ざぶり)で攪拌しその後、ネリ(トロロアオイの根から出る粘液)を入れ、竹棒で十分攪拌し、原料とネリを馴染ませます。このネリの作用により繊維同士が水中で分離し、均一に分散した状態になります。

原料の用意が出来たら、簾桁(すげた)という紙漉き道具で原料をすくい上げ、ゆり動かし紙にしていきます。
漉き方は、原料の違い、産地ごとに特長がありますが、当地では縦ゆり、横ゆりを加え縦横に繊維を絡みつかせる漉き方をします。 簾の上に出来た紙を桁からはずし、「紙床(しと)」と呼ぶ板の上に一枚一枚漉き上がった順に重ねていきます。

漉き上げた紙は、一晩そのまま置き自然に水分を流した後、漉き重ねた紙の上に板を乗せジャッキで少しずつ圧搾して水を切っていきます。最終的には、一枚一枚が湿った状態ぐらいまで絞ります。

圧搾した湿紙を一枚一枚今度は逆に剥がして、ステンレス板の乾燥機に刷毛で貼り付け、乾燥機の中に蒸気を通しその熱で乾燥します。
気候の温暖な地域では、天日で乾燥する地方もありますが、冬の厳しい気候の当地では、天候に左右されない蒸気乾燥を行っています。