Romaneé Conti Report



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Romaneé Conti Vintage Table.
Romaneé Conti Report.


1976年 Romaneé Conti (1992年10月19日試飲)
38hl/ha 9月24日収穫

 わずかに淡い色合いのルビー。輝きが強く、エッジにオレンジが見える。グラスにつがれる間に芳香がただよう。甘いヴァニリンのトップ。ブラックチェリー、プラムのジャムのフレーヴァーに甘草、オリエンタルなスパイスなど。
 味わいは、無駄な要素は全て削ぎ落としたかの様な、旨味を一点に集中させた凝縮感がある。均整のとれた見事なボディーで驚嘆の限りである。今から10年以上はこの状態で楽しめるであろう。ピークを過ぎたものとは到底思えない。




1990年 Romaneé Conti (1995年7月30日試飲)
32hl/ha 9月22日収穫

 てり輝くクリアーで濃密なヴァイオレット。明確で品格のあるヴァニラのトップ。ミネラル感が強く、ブラックチェリー、プラムなどのアロマは存在するが、ひかえめな印象。未だ若く、硬く閉じてはいるものの、他のピノ・ノワールでは味わえない強烈で刺激的なフルーツと、ニュアンスたっぷりのエキストラクトが織りなしている。生きている間に楽しめるピノ・ノワールになるのであろうか。罪悪感を心に残す。




1966年 Romaneé Conti (1995年7月30日試飲)
35hl/ha 10月5日収穫

 薄めのルビーに、アンバーな色調が見える。クリアーにてり輝いている。心地よいスー・ボア(腐葉土)、キノコ、トリュフのトップノーズ。甘いヴァニリン、シナモン・ナツメグ、オリエンタルなスパイスに砂糖で煮つめたプラムなどのブケがたっぷりと楽しめる。
 信じがたい程、穏やかで深遠な複雑性をもった味わいでフィネスを感ずる。心に平和をもたらす絶品のピノ・ノワール。パーフェクトと言いたい。




1960年 Romaneé Conti (1995年9月17日試飲)
30hl/ha 10月4日収穫

 思いの他濃密なコハク色の近い色合い。甘いガトーのトップノーズに、シナモン・白コショウ、かすかな腐葉土の香り。プラムのドライフルーツ、赤いベリー系のジャムなどの果実香が幾重にもからみ合っている。
 赤いフルーツを煮つめた味わいで、タンニンは溶けきっているものの、甘いエキストラクトの後で、にがみを残す。しかし、フィニッシュに、他のピノ・ノワールを制する、品格を持った余韻がただよう。
 早く飲みきるべき、ロマネ・コンティであろう。




1971年 Romaneé Conti (1995年9月17日試飲) 5294本
22hl/ha 9月27日収穫

 クリアーなルビー色。未だに若いニュアンス。トップにかすかなミネラル感があり、スパイシーな印象。煮つめたプラムとラズベリーのジャムの果実香は、鼻をくすぐる刺激的なのフレーヴァーを伴う。若さを残したフルーツは穏やかで、あたかもピノ・ノワールのエッセンスを抽出したかのような味わいである。フィネスを感ずる。たっぷりのエキストラクトと甘みが、心地好いフィニッシュを演出する。




1974年 Romaneé Conti (1995年11月21日試飲)
30hl/ha 10月7日収穫

 アンバーな色合いの強いルビー。2時間後にはグラスの中で褐変した。
 はじめ、じゃり、土などのトップノーズが消え、かすかな腐葉土、キノコ、プラムのドライフルーツなどのブケが続く。刺激的なスパイス香も楽しめるが、香りのボリュームは小さい。エレガントにまとまり、ノーブルな印象を残し、かつ精妙な味わいである。枯淡の域のロマネ・コンティ。現在から数年は今の状態で楽しめるであろう。しかしグラスの中では早く飲みきるべし。




1992年 Romaneé Conti (1995年11月21日試飲)
4776本

 輝きの強いヴァイオレット。未だ青味を残している。見事なレッグス。強いじゃり、土などのミネラル感が新鮮なブラックチェリーなどのアロマをマスキングする。グランクリュを証明する、ブケの複雑性は見られない。豊かなフルーツにはコンセントレーションがあり、たっぷりの甘さと、のど越しを温かくするアルコールとニュアンス豊富なもどり香を持つ。未だ若く、飲める状態ではないロマネ・コンティである。




1969年 Romaneé Conti (1995年11月21日試飲)
30hl/ha 10月13日収穫

 薄いコハク色がかったルビー。心に平和をもたらす甘いガトー、トリュフ、シナモン、東洋系のスパイスなどのブケ。深遠にしみ渡るプラムのドライフルーツ、チェリーのジャムなどのフレーヴァー。味わいは精妙でフィネスを感じ、穏やかで完全に溶けきったタンニンを持つ。突出した部分の全くない、かぐわしく余韻も延々と続くパーフェクトなピノ・ノワール。




1965年 Romaneé Conti (1996年2月21日試飲)
24hl/ha 10月23日収穫

 コハク色がかったルビー色。穏やかな海の様に輝いている。グラスの中でどんどん湧き上がる強烈なブケ。甘いガトーのトップにかすかなヴァニリンを伴い、東洋系のスパイス、木の皮、トリュフ、ミント、プラムのドライフルーツなどの香りが織りなしている。壮麗にひきしまった酸とオーロラのごとく波うつフルーツの綾。胃を温かくするアルコールと完全に溶けきったタンニン、他にはない品格を持ったフィニッシュが伴う。世にもすさまじき絶品のロマネ・コンティ。このワインは、今より前でも後でもだめな、今がピークのワインと言えよう。




1979年 Romaneé Conti (1996年2月21日試飲)
14hl/ha 10月11日収穫

 ラ・ターシェより薄いわずかにコハクがかったルビー色。腐葉土、キノコ、トリュフのトップに、甘草、甘いガトーなどのエキゾチックで官能的なブケ。
 小さく引き締まったフルーツはラ・ターシェと比べ、ミディアムで、精妙さと複雑さを伴う。
 余韻に刺激的な味わいがあり、エキストラクトとフルーツの甘みが、心地よさを残す。納得できるが、感激させられるロマネ・コンティではない。




1970年 Romaneé Conti (1996年4月17日試飲)
40hl/ha 10月9日収穫

 輝きの強いうすいオレンジががかったルビー色。湧き上がる膨大なブケ。スー・ボア、トリュフ、プラムのドライフルーツに甘草、ナツメグなどのニュアンス。溶けきったタンニンと小さく心もとないフルーツが、難しいヴィンテージを連想させる。しかし、特有のエキストラクトと精妙バランスがあり、今熟成のピークから下りかけてはいるが、心地よいフィニッシュを約束する。




1985年 Romaneé Conti (1996年4月17日試飲)
4908本 24hl/ha 10月5日収穫

 美しくしてり輝くルビー色。甘くノーブルなヴァニリンのトップノーズ。かすかなトリュフの香がラズベリーのジャム、プラムのアロマにかい間見られる。ブケに複雑性は未だ見られない。穏やかな海のように深遠で豊かな果実の味わいを持ち、レースのように華麗で美しい酸が伴なう。
 未だ閉じているものの、10年後を約束し、世紀のワインとなりうるロマネ・コンティである。




1954年 Romaneé Conti (1996年5月21日試飲)
40hl/ha 10月14日収穫

 かすかに琥珀色を見せるルビー色。スモーキィーなトップノーズに、コーヒー、カカオのニュアンス。この年の物としては、驚くほど厳格なミネラルとプラムのドライフルーツが楽しめる。小さくまとまったフルーツにしまった酸、たっぷりの滋味が心地よい。フィニッシュはとぎれる感じで後味は短いが、納得のできるロマネ・コンティの佳作。




1959年 Romaneé Conti (1996年8月4日試飲)
38hl/ha 9月24日収穫

 深いコハク色。濃密であるが進みすぎた印象。豊満なコーヒーリキュールのトップに、かすかなマディラ酒、ワックス、蜂蜜、プロポリス等のフレーヴァーが続く。プラムなどのドライフルーツのブケはあるが、進んだ印象の熟成香にかくされている。ロマネ・コンティにしては、大柄な骨格の堅固な味わいであるが、やや老成し、バランスを欠いた印象を残す。
 おそらく流通上の要因でワインの質に問題があるが、本当は深く、大きなロマネ・コンティなのであろう。




1976年 Romaneé Conti (1996年8月4日試飲)
38hl/ha 9月24日収穫

 オレンジがかったルビー色。グラスの中に注ぐと、信じがたいほどのかぐわしいワインとなる。かすかなトリュフ、スー・ボア、黒コショウ、オリエンタルなスパイスなどによく熟しきったプラムのドライフルーツのブケが織りなしている。穏やかな湖沼の上澄みをすくったかのようなクリアーなフルーツの味わいがあり、たっぷりと蜂蜜のように甘く、官能的なフィニッシュを迎える。今、パーフェクトに開ききった、ヴィンテージなりのロマネ・コンティである。92年10月19日の印象より、すばらしい。




1964年 Romaneé Conti (1996年8月4日試飲)
38hl/ha 10月4日収穫

 琥珀色の見える濃厚なルビー。トップに厳格な畑の個性を主張する。ミネラル感を持ち、甘草、東洋系のスパイス、未だ若さを残す。マッシュしたプラム、ラズベリーのブケが続く。強いコンセントレーションがあり、筋肉質のしまったフルーツ。タンニンとレースのような酸があり、依然として眠りから覚めない偉大なロマネ・コンティである。
 65年、66年、69年とは対局をなす存在となる。




1992年 Romaneé Conti (1996年10月23日試飲)
4776本

 美しい濃厚なルビー色からクリムゾンレッド。わずかにガーネットのエッジが見える。むせかえる様な強いミネラル感に、かすかな腐葉土、赤い花、ブラックチェリーのジャムのブケが続く。かすかに舌に残るタンニンと、しまった酸、目の詰まったフルーツの味わいがあり、わずかではあるが、ロマネ・コンティらしいフィネスを感ずる。
 未だ若く閉じているが、想像より早く熟成の入り口に達するかもしれない。5年は我慢するべきであろう。




1981年 Romaneé Conti (1996年10月23日試飲)
3800本 16.5hl/ha 10月5日収穫

 輝きが強くクリアーなオレンジがかったルビー色。トリュフ、特徴的なアイラのモルトのノップノートに、膨大なテロアールが続き、あたかもスパイスの宝石箱のように、東洋系の香辛料がちりばめられている。かすかな赤い花のニュアンスとプラムのドライフルーツのブケが心地よい。優美なフルーツと、しなやかなタンニン、レースのような酸が芳醇な口当たりとなる。後味も濃密で今飲んでも絶品のロマネ・コンティでである。
 今から10年は、熟成の高原部を疾駆するであろう。




1952年 Romaneé Conti (1996年12月22日試飲)
24hl/ha 9月29日収穫

 輝く、濃密なコハク色にエッジはオレンジのリングが見える。驚嘆に値する膨大なブケ。甘くノーブルなヴァニラ、トリュフ、スーボア、ジャコウ、数限りないスパイスなど七色のフレーヴァーが立ち昇る。味わいは強く濃密であるが、すべて否定的な物を削り落としたかの様なピュアーな味わい。古酒ではあるが、見事な果実の味わいを持ち、50年代の傑作のロマネ・コンティと言える。




1979年 Romaneé Conti (1997年2月16日試飲)
14hl/ha 10月11日収穫

 照り輝くクリムゾンからガーネット。腐葉土、わずかなトリュフのノップノーズに動物系のジャコウなどが続く。エキゾチックで退廃的なイメージが強く、甘いガトー、東洋系のスパイス、プラムのジャムなどのブケが控えめに感じられる。口当たりの良い果実味であるが、さらりとして物足りなさを残す。

 下の方のワインには、より強いコンセントレーションを感じ、渋みもたっぷりで複雑性も増す。フィニッシュには心地よいフルーツの甘みがあり、リキュールを滴下したかのような強さを感ずる。




1993年 Romaneé Conti (1997年3月12日試飲)

 輝きのある濃密なルビーからヴァイオレット。輪郭には未だ青味が残る。風のように立ち昇る強いミネラルと甘いヴァニリンの後に、木イチゴの砂糖づけとブラックチェリーのジャムのフレーヴァーを感ずる。強烈に濃縮したプラムや木イチゴのジャムの味わいがあり、フィニッシュのわずかなフルーツの甘みが心地よい。優れたピノ・ノワールではあるが、未だロマネ・コンティにはなり得ていない。10年以上はセラーの奥へ封印すべきワインである。




1957年 Romaneé Conti (1997年3月12日試飲)
27hl/ha 10月10日収穫

 オレンジがかった淡い琥珀色からブラウン。照り輝き、細く見事なレッグスを持つ。
 甘い煮つめた砂糖、ガトー、ココアなどのトップノートに東洋系スパイス、ナツメグ、シナモンが続き、森の下草、トリュフ、プラムのドライフルーツなどのブケを楽しめる。
 味わいは濃縮感があり、芳醇なフルーツを味わう事ができるが、数十分の間にグラフの中で褐変し、口をすぼめる酸と厳格なタンニンが残る。いわゆる枯れ葉が舞い落ちる前に飲むべきロマネ・コンティである。




               
1961年 Romaneé Conti (1997年5月21日試飲)
6080本 25hl/ha 10月7日収穫

 深みのある濃厚なコハクがかったルビー色。呆然自失となる信じがたい強烈なブケ。トリュフ、スーボアのトップノートに、ロマネ・コンティらしいスパイスの宝石箱、ジャコウ、コーヒーリキュールのブケが続く。華々しい芳香は優美でエキゾチックなニュアンスを持ち、延々とだだよう。味わいは芳潤、深遠な印象でたっぷりとした果実の甘みも心地よい。何もじゃますることのない完璧な熟成具合を持つ、典型的なロマネ・コンティに仕上がっている。しかし、グラスの中で長く空気と接触すると、色は黒変し、急速に落ち込んでゆく。




1981年 Romaneé Conti (1997年7月16日試飲)
3800本 16.5hl/ha 10月5日収穫

 てり輝く、オレンジのふちどりのルビー色。グラスから湧き上がる膨大なブケ。かすかなコーヒー、トリュフ、スー・ボア(腐葉土)などのトップノーズに様々な東洋系スパイス。マッシュしたラズベリーとプラムのドライフルーツなどの果実の香りが心地よい。極めてバランスが良く、しまった酸とスタイリッシュな口あたりが印象に残る。グラスの中で数時間はブケと果実の濃縮さを保つが、最後は黒変する。1996年10月23日試飲のロットに軍配が上がる。




1962年 Romaneé Conti (1997年7月16日試飲)
35hl/ha 10月15日収穫

 濃密なコハク色。特徴的な砂糖の焦げた香り、ガトーショコラ、コーヒーなどに始まり、ミネラル感の強いブケが続く。複雑な甘草、くるみ、種々の東洋系のスパイスの影にプラムのドライフルーツ、乾燥プルーンなどの果実が感じられる。粘着性の強い強烈な味わいで、たっぷりのエキストラクトの甘みが舌にまとわりつく。余韻も長く、今までのロマネ・コンティとは違うスタイル。




1983年 Romaneé Conti (1997年9月24日試飲)
3867本 16.5hl/ha 10月3日収穫

 信じがたいほど深いレンガ色。エキゾチックで魅惑的な芳香。官能をくすぐるトリュフ、スー・ボア(腐葉土)、ナツメグ、甘草、ジャコウなどのブケ。そこにプラムのジャムのような果実の香りが織りなしている。豪勢な果実味にレースのような酸、溶けきったタンニンとかすかな苦味が残る。壮麗で濃厚なバランスのまま、フィニッシュを迎える。今から5〜7年で熟成の高原部に入るであろう。




1994年 Romaneé Conti (1997年11月19日試飲)

 輝きの強いルビーからヴァイオレット。じゃり、土ぼこりの様なトップの香りが消えた後、ブラックチェリー、プラムなどのアロマの中に、ロマネ・コンティらしいジャコウ、トリュフなどのニュアンスが見つけられる。
 若く閉じているが、ピノ・ノワールのエッセンスのような濃縮感を意識させるのは、さすがと言わざるを得ない。完全に閉じてしまう前の姿のわかる、ロマネ・コンティである。2012年前にこのワインを飲む機会は、これきりにしておいた方がいよい。




1967年 Romaneé Conti (1997年11月19日試飲)
7220本 30hl/ha 10月6日収穫

 エッジがオレンジに近い淡いブラウン。てり輝いている。蒸したキノコ、マンダリンオレンジの皮などのトップノートに、フィノシェリー、マディラ酒、コーヒーのフレーヴァーが続き、酸化の後の印象として残る。しかし、グラスの中でそのブケが消えると、乾燥プラムと甘いガトーが心地よい。熟成のピークが過ぎたイメージの小柄で華奢な口あたりのロマネ・コンティである。




1980年 Romaneé Conti (1998年1月21日試飲)

 輝きの強いレンガ色。想像以上の膨大なブケ。はじめになめし皮、ジャコウなどの動物系の香りが強く、その後、ナラの樹、腐葉土、トリュフなどの熟成香が立ち昇る。プラムのジャムなどの果実の香りも十分に楽しめるが、その中に涼しげなミント、ハーブなどが見つけられる。81’よりやや骨太のフルーツに豊かな口当たりを持ち、後数年で絶頂期を迎えるであろう。飲み始めるのであれば、今が最高と思われる。80年代では宝物といえる1本である。




1992年 Romaneé Conti (1998年3月18日試飲)
4776本

 てり輝くルビーからヴァイオレット。エッジに青が見える。トップに強いミネラル感と土などの香りが未だ感ぜられ、熟したプラム、チェリー、ラズベリーなどのジャムのアロマが織りなす様に立ち昇る。未だ複雑性はないが、他のピノ・ノワールでは見られない強いコンセントレーションと、決して突出する事のない味わいのエレガンスがあり、5〜7年後の開花が楽しみである。封印すべきロマネ・コンティ。




1973年 Romaneé Conti (1998年5月20日試飲)
40hl/ha 10月6日収穫

 美しいオレンジがかったコハク色。澄んだ紅茶のようである。頭がくらくらするほどの湧き立つようなブケ。腐葉土、トリュフなどのトップノートにたっぷりのミネラルとシナモン、甘草、東洋系のスパイスなどが続く。プラムのドライフルーツの香りにはかすかなミント、プロヴァンスのハーブなどのアクセントが見つけられる。総体的には、良く熟成し驚くべき複雑さを持った小柄なロマネ・コンティと言えるであろう。スケールの大きな味わいは望むことは出来ない。




1972年 Romaneé Conti (1998年7月15日試飲)
40hl/ha 10月18日収穫

 ややオレンジの縁取りが見えるが、若々しさを残すガーネット。深い濃厚な色合いで照り輝いている。強いミネラル感を持ち、煮詰めたプラムの香りが顕著に見られる。強く明確な熟成香が感じられるが、品格の点で少し落ちる印象。トリュフ、マッシュルームなどのブケが、スパイシーさの中に見つけられる。骨格の堅固なフルーツだが、酸がベースに残り、タンニンも舌先にまとわりつく。リキュールのような甘みが心地よいが、どこか相対的にバランスを欠いたロマネ・コンティである。




1974年 Romaneé Conti (1998年8月6日試飲)
30hl/ha 10月7日収穫

 かすかに琥珀色の見えるルビー。熟成の極みを連想させるかぐわしいブケ。1995年11月21日のものよりスケールが大きく、湧き上がるようなブケである。腐葉土、トリュフ、ジャコウなどのトップの香りに芳潤なプラムのドライフルーツが続く。甘草、プロヴァンスのハーブなどのアクセントが、一段上のブケの複雑性を演出する。味わいにはエキストラクトが多くなめらかで、フルーツの甘みが心地よい。熟成の高原部に入った絶品のロマネ・コンティと言える。




1975年 Romaneé Conti (1998年9月23日試飲)
26hl/ha 10月11日収穫

 澄み切ったブラウン。白コショウ、種々のスパイス、ハーブ系の香りがトップに感じられ、かすかなトリュフ、スー・ボアに続き、プラムのドライフルーツのブケが立ち昇る。スリムな軽い口当たりではあるが、75’のピノ・ノワールとは思えないほどのしなやかさとたっぷりの滋味を持ち合わせている。余韻もやや短い印象である。




1995年 Romaneé Conti (1998年11月18日試飲)

 美しい濃密なルビーからヴァイオレット。ミネラル感の強いトップノートが消え、バラの花の香料、ラズベリー、ブラックチュエリーのジャムなどのアロマが凝縮されている。豊かで力強い肉感的な果実味を持ち、ピノ・ロワールのエッセンスの様な生々とした口当たりのロマネ・コンティである。いかんせん未だ若く、20年待って姿の見える代物であろうか?封印すべきワイン。




1978年 Romaneé Conti (1999年7月21日試飲)
27hl/ha 10月16日収穫

 美しいてり輝く濃密なルビーに、オレンジのエッジが見える。グラスに注がれると、強烈なミネラルのフレーヴァーを感じ、森の下草、オレンジの皮、プラムのジャム、黒トリュフなどの壮麗なブケが延々と続く。官能的なジャコウなどの動物系の香りの印象的で、野性的な資質が備わった偉大なピノ・ノワールである。
 総体的に若いが、タンニンは思いの外しなやかで、溶けきっており、豪勢なエキストラクトと、華麗にきれ上がった酸が長命で偉大なワインを保証する。わずかな苦味と、甘美なジャムのフィニッシュが心地よい。精妙なニュアンスを現しはじめた、世紀のロマネ・コンティである。




1970年 Romaneé Conti (2000年7月2日試飲)
40hl/ha 10月9日収穫

 澄みきったブラウンがかったルビー色。トップにタール、カラメルを感じ、トリュフ、ナツメグ、シナモン、東洋系のスパイスなどが織りなす、エキゾチックで神秘的なブケ。乾燥プラム、オレンジの皮などのブケは、様々な熟成香とからみ合い、グラスの中で時間と共に変化する。しなやかでシルクのような口あたりを持ち、穏やかな調和のワインといえる。フィニッシュに残るかすかなタンニンのざらつきと酸のバランスは雹害の痕であろうか?




注:このレポートは1992年〜2000年に於ける「一水会」並びに「カズクン会」でのテースティング・ノートである。