日時:2004年9月11日(土)14:00 - 16:00
場所:盛岡市上田公民館 視聴覚室
テーマ:命を科学するシリーズ(5)
話題:「コラーゲンをめぐる話題」
今村 保忠 (東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系:化学)
コラーゲンについては聞いたことがある、化粧品の材料、ビタミンCと関係ある、
皮や骨に多いくらいの知識はある人が多いでしょうが、生命科学に携わっている人
でもこの程度の認識しかないのではないかと思っています。ではコラーゲンとは?
いろいろな捉え方がありますが、固相、物理的な支持体、細胞機能の調節、進化
上の役割に視点をおいて、コラーゲンについて考察したいと考えています。全体像
を理解できるほどには個々の現象も理解されていない状況ですが、いろいろな可能
性を掘り出していくことこそが科学の楽しみだと思います。
まず、コラーゲン分子の特徴について、特に構造やアミノ酸組成・配列について
のべ、コラーゲン産生の複雑さに言及します。何故、複雑な産生のシステムが必要
になったのか、最近の進化の話題を含めて考察します。コラーゲンに着目した組織
構築の原理について話しまして、多様なコラーゲンの役割について、私たちの研究
の一部を紹介します。基底膜の重要性について述べ、ビタミンC(アスコルビン酸)
の新しい役割を説明し、内科的再生という概念を話します。コラーゲンなど細胞外
マトリックスの特徴は、細胞に対して固相として作用することだと思います。細胞
が細胞外環境を構築し、その環境の作用を細胞が受ける。このような相互作用の循
環の動的な安定性の上に組織・器官は構築・維持されていると言えるでしょう。そ
の循環する相互作用をいかに好ましい方向へ向けていくかが、健康の維持や治療法
の原理になるのではないでしょうか。