第81回

日時:2003年11月29日(土)14:00 - 16:00
場所:盛岡市上田公民館 第一集会室

テーマ:命を科学するシリーズ(3)

話題:「試験管内で動物の卵子を育てる話 −体外培養における哺乳類卵子の成長−」
    平尾 雄二(志水 学、伊賀 浩輔、竹之内 直樹)
    【東北農業研究センター】

 哺乳類の個体の誕生には雄(精子)と雌(卵子)が必須である。豊富に準
備される精子に対し、卵子は子どもになるべき数だけ作られて卵巣から放出
される。体外受精や胚移植技術の発達とともに、卵巣に蓄えられている卵子
の「もと」となる細胞を利用するための技術が研究されてきた。その細胞は
卵母細胞と呼ばれ、数は非常に多いが、細胞分裂(増数)しないため、将来
は成長して卵子になるか、卵巣の中で死ぬか、そのどちらかとなる。ほとん
どはただ死ぬ。自然では一定の周期で集団が成長し、最大直径に達した少数
のみが卵子になるように調整される。大きくなった卵母細胞のみ、成熟とい
う変化を起こすことができるが、成熟できない卵母細胞は子牛になることは
おろか、受精すらできない。したがって、培養技術で十分に成長させること
が大前提となる。しかし、現在のところ、培養技術が進んでいて、卵母細胞
もはるかに小さなマウスにおいてのみ成功している。鍵となるのは卵母細胞
の成長を支える周囲の体細胞の役割である。最近、両者の関係が思いの外、
複雑かつ巧妙に制御されていることが明らかとなってきた。ここでは家畜の
卵母細胞における新たな培養系の開発をモデルに、哺乳類の卵母細胞の体外
成長について述べてみたい。