第67回

日時:2001年3月10日(土)14:00 - 16:00
場所:盛岡市上田公民館視聴覚室
テーマ:細胞の生理シリーズ13

話題:「脳の脇役:グリア細胞の形と働きを考える」
 遠山 稿二郎
(岩手医科大学医学部)

 脳・脊髄(あるいは中枢神経)は、「神経細胞とその突起」、そしてこれらを囲み、
神経の機能を助ける「グリア細胞」から構成されている。
 神経に不具合が起きれば、当然、脳の機能が損なわれる。これまでは、(脳の機能
能障害)=(神経細胞の機能不全)、と考えられ、主に神経細胞の病理的変化につい
て研究されてきた。しかし、グリア細胞の役割が判明するにつれ、むしろグリア細胞
の変化に起因する様々な病理現象が明らかになってきた。
 わたしは、神経軸索の再生、という問題を例にグリア細胞が果たしている役割につ
いてお話しし、未だに解明されていないグリア細胞の機能を考えてみたい。本日、話
題とするグリア細胞は、末梢神経のシュワン細胞、中枢神経のアストログリア、そし
て、ミクログリアである。
(1)末梢神経系では、神経軸索が切断されても再び伸びることができるが、この時の
現象を形態的に述べる。
(2)一方、脊髄神経根(後根)が切断された後、再生軸索は脊髄直前までは勢いよく
伸びるが、脊髄の後根侵入部を突き抜け脊髄内に達することはできない。このとき、
アストログリアはどのような動態を示すのだろうか。さらに、脊髄内での障害時、ア
ストログリアはどのように振る舞うのであろうか。
(3)また、もう一つのグリアであるミクログリアについて考えてみたい。この細胞は、
古くから、中枢神経内の清掃細胞として考えられてきた。しかし、いくつかの現象を
考えると、この大前提に大きな問題が生じてくる。私は、ミクログリアがこれまで信
じられてきたように、脳内での清掃細胞だとすると、何故かくもコンスタントに中枢
神経内に分布していなければならないのか、を疑問に感じる。組織構築を考慮すると、
もっと、基本的な機能があるはずである。
 また、最後に、近年、中枢神経の再生(軸索再生)についてのトピックスについて
も触れてたい。
 なお、本日は、他の重要なグリア細胞であるオリゴデンドログリア(希突起膠細胞)
については殆ど触れない。