日時:2000年3月25日(土)14:00 - 16:30
場所:盛岡市上田公民館第一集会室
「植物はどのようにして凍結ストレスに強くなるのか?」
上村 松生 (岩手大・農・寒冷バイオシステム研究センター)
盛岡に生育する植物の中には、夏に凍結すると死んでしまうが、冬は
凍結しても耐えられるものが多く存在する。一方、冬が訪れる前に暖か
い家の中に取り込まないと死んでしまう植物も多い。これら2つの植物
グループにはどのような違いがあるのだろうか?なぜ、植物は凍結によ
って死んでしまうのだろうか? 約100年にわたって続けられてきた
植物の耐寒性機構に関する研究により、細胞と外界を分けている細胞膜
(原形質膜)の機能・組成・構造が凍結という「ストレス」を受け取り
傷害を引き起こすか否かを決定する際に、重要な鍵を握っているという
ことが明らかになってきた。植物は厳しい冬を乗り切るために、秋から
冬にかけて細胞膜が凍結ストレスに耐えられるよう体制を変化させる
(低温馴化と呼ぶ)のである。その仕組みや、得られた研究結果が人間
にとってどのように応用可能なのか(例えば、農作物の改良、工業的応
用など)ということについてお話をしてみたい。
「イネの冷温障害」
小池説夫 (農林省東北農業試験場 地域基盤研究部 生理生態研究室)
寒冷地の稲作は、生育過程のどの時期においても冷温ストレスの影響
を受ける可能性があり、結果として生育の遅延や稔実障害がもたらされ
る。なかでも、穂ばらみ期といわれる花粉発育過程の一時期が特に冷温
ストレスの影響を受けやすく、稔実障害により収量が大きく低下するこ
とが多いために最も重要な時期とされている。このため、イネの耐冷性
は特別な断りがない限り穂ばらみ期イネの耐冷性を意味している。穂ば
らみ期に次ぐ冷害危険期は、開花期である。この両時期の冷害は稔実障
害に到るために、障害型冷害といわれ、回復が困難な場合である。一方、
種を播いてから穂がたれてまでの様々な生育時期の冷温や日照不足によ
る生育の遅れが原因で登熟不良となる冷害を遅延型冷害と呼んでいる。
今日は、障害型冷害の発生の仕組みを中心にお話ししたい。