ワイン新発見!! 第3回

1999 Nuit St George 1er Cru
Rue De Chaux
Domaine Pierre Thibert

ピエール・ティベール




A.C.Nuit St Georgeのピノ・ノワールは、おおらかで瑞々しい果実味と、土っぽいニュアンスを持った膨大なアロマが真骨頂と言える。しかしながら一方では、味わいにおけるエレガンスと香りの品格において、Vosne RomaneeやChambolle Musignyに後れをとり、果実味の力感と集中力においては、Gevrey Chambertinに及ばない。 30代半ばのピエール・ティベールは、5年前にドメーヌを興し、平均樹齢65年のリュー・ド・ショーの畑から、Nuit St Georgeらしからぬ精妙なピノ・ノワールを造り出している。このワインは濃密なヴァイオレットの色合いで、しっかりとした骨組のバランスの良い果実味を持っている。99年は新樽比率を高くしたようで、トップ・ノーズには強いオークとスパイス感が伴う。品の良いスミレの花、甘いブラック・チェリー、プラムのジャムのアロマが新鮮で、5年間の熟成によって、さまざまなニュアンスが生まれてくると思われる。味わいは甘く濃縮されたフルーツで、たっぷりのタンニンだが、舌ざわりは思いの他なめらかである。壮麗な酸味の下支えは良好なヴィンテージの証で、総体的にはNuit St Georgeとは思えないようなソフィストケートされた印象を生む。今でも十分に楽しめるが、5年の熟成によって、さらに華麗にメタモルフォーゼするワインである。3000円代と言う値段設定はすばらしいコスト・パーフォーマンスだと思う。
 
 
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