ワイン新発見!! 第1回

見事にソフィストケートされた
ジュブレイ・シャンベルタン

1997 Gevrey Chambertin Aut Velle
Domaine Denis Mortet





 ジュブレイ・シャンベルタン村のドメーヌであるDenis Mortetは、現在赤丸急上昇中である。97年物のA.C.ヴィラージュである上記のワインも、市中ではすでに一万円を越えようとしている。その要因はパーカー・ポイントだけでなく、他のワイン評論家によって、ブルゴーニュの造り手Best5に、Domaine Leroy、D・R・C Dugat Py、Vogueなどと共に、並び賞されているからであろう。Denis Mortetは93年から今の造り手になったと言われているが、それ以前のDenis Mortetを私は知らない。
 97年物のGevrey Chambertin Aut Velleは信じがたいほどピュアーで濃密なヴァイオレットに照り輝いている。土っぽいニュアンスはなく、むしろ香水のようなスミレの花の香りに、ヴァニリンのトップノートがコーヒー、カカオの香りと渾然一体となっている。とてもGevray Chambertinのものとは思えないほど、ソフィスティケートされたワインである。グラスをステアーする事で、エキゾチックなアジアの香料、黒胡椒、プラムのジャム、ブラックチェリーのコンフィなどのブケがグラスの中からあふれんばかりになる。豪勢なタンニンではあるが、なめらかで舌を刺激することはなく、しなやかな無駄のないスタイリッシュなフルーツで、品格が備わっている。私のメルクマールでは、Armand RousseauのClos St JaquesやDugat PyのGevrey Chambertin VV と同列に考えている。
とかくブルゴーニュは、自然に体が動き出してしまう様な民族音楽的なワインではあるが、このワインは極めてシリアスで思索的な、たとえばクラシック音楽の様な要素を持った不思議なワインである。そういう意味では極めてボルドー的なブルゴ−ニュといえよう。

 その後、98年 Gevrey Chambertin Aut Velle 、99年 Marssanay Les Longerois を飲む機会に恵まれたが、いずれも目を見張るようなワインであった。
 
 
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