糖尿病患者の教育効果と
性格特性
熊坂 伸子


 糖尿病の患者さんの多くは、食事や運動などの、毎日の生活習慣
に留意することで、血糖値をコントロールすることができます。

 そのためには主治医が計算した一日の必要カロリーを知り、各食
品の持つカロリー量も知らなければなりません。
それらの指導することを糖尿病教育と言います。

 糖尿病教育は、数人の患者さんが一緒に受けることが多く、栄養
士や看護婦が一人一人にあった食事法などを指導します。

 指導を受けた患者さんの多くはきちんと指導を守り、毎月の血糖
値測定でもコントロールの改善が見られますが、その一方で、全く
改善が見られない方とか、逆に悪くなる一方の人もいます。このよ
うに、糖尿病教育の効果が見られる人と見られない人では性格上の
違いが見られるのかどうかを調べてみました。患者さんに協力をお
願いして心理検査を受けていただいたのです。

 その結果、おもしろいことがわかりました。教育効果がでない人
は共通の性格を持っているようなのです。どういう性格かと言うと
「社交的」で「リーダーシップ」が旺盛な人です。

 社交的な性格も、旺盛なリーダーシップも一般には大変好ましい
性格ですが、こと、糖尿病治療に関してはあまり好ましくない性格
のようです。理由はよくわかりませんが心当たりのある方も多いの
ではないでしょうか。

 指導する側の人は、このような性格の患者さんには、指導法の工
夫が必要だと思います。社交的でリーダーシップが旺盛という性格
を、良いほうに利用して、指導を守って貰えるにはどうすれば良い
か・・、それがわかれば、患者さんにとっても副音です。

 なかなか指導が守れないと悩んでおられる方、もしかしたらそれ
は、あなたの性格がそうさせているのかも知れませんよ?