「タラソテラピー」(1)
院長  熊谷 利信

 9月8日、青森県北津軽郡市浦村にあります「し〜うらんど海
遊館」を訪ねてきました。海遊館は東北で初めてのタラソテラピー
の施設です。そこで生まれて初めて「タラソテラピー」を体験して
きました。

 ところで、そのタラソテラピーですが、ギリシャ語のタラサ  
(海)とフランス語のテラピー(治療)に由来するのだそうです。
日本語では海洋療法と訳されているようです。
フランスがタラソテラピー発祥の地とされ、本場ブルターニュを中
心に50カ所以上のセンターがあり、フランスでは延べ年間約250
万人が施設を利用しているそうです。
海水等を用いて、運動・栄養・休養をバランスよく活用しながら
身体機能を高めていく療法との事です。

まず、施設に入っての第一印象は「これは心にも、身体にも、
とても良さそう」というものでした。室温も程良く、初めて見る
「元気海プール」(別名「海水迷路」)は視覚的にも楽しそうで、
リラックスしながら運動ができそうです。実際プールに入ってみま
すと、これまた心地いいのです。水温が33度Cから36度Cに設定さ
れているそうですが、この温度帯は不感温度帯と呼ばれており、身
体に負担をかけずに長い時間でも利用できる温度帯なのです。

 プールを歩いてみましたが、海水ですから普通のプール(真水)
よりも浮力が大きいため楽に歩けます。それでいて、全身の運動が
できますし、所々にある、ジェットが肩や腰などに快い刺激を与え
てくれます。また、実際に一部分が長方形のプールになっており、
普通に泳ぐこともできます。さらに、屋外にあるジャグジーからは
日本海を見ることができました。時間に余裕があれば、絶景の夕日
を堪能できるのだそうです。また、バンジェと呼ばれる、温かな海
水の水流マッサージも気持ちのいいものでした。

 会員の方の年齢ですが、50歳以上の方が68%を占めているそうで
すが、若い方もたくさん利用しておりました。利用している方々の
反応ですが、肩凝り、腰痛、膝の痛みが改善したり、不眠、ストレ
ス、肥満などにも効果があったとのことです。そして、満足度です
が、「非常によい」と「よい」を合わせると八十二%だそうです。

 宮古にもあと二年ちょっとでできるそうですが、今から待ち遠し
い限りです。




「タラソテラピー」(2)
院長  熊谷 利信

「タラソ テラピー」とは?

前回と前々回、くまちゃん健康ニュースにタラソテラピーの記事
が掲載されたからでしょうか。何人かの患者さんから「タラソって
何ですか?」「タラソテラピーってどういうもの?」という御質問
をいただきました。前にも一度この欄で取り上げた記憶があります
が、もう一度整理してみます。

 「タラソ」とはギリシャ語の「海」を意味する言葉です。「テラ
ピー」はフランス語で「治療」を意味します。つまり「タラソテラ
ピー」は、日本語に直すと「海洋療法」とでもいいましょうか、簡
単に言うと、海水の効果を利用した健康法のことですね。
 海水に含まれるミネラルが身体に良いのはもちろんですが、海水
では真水より身体が浮きやすく腰や関節に疾患のある人でも、海水
中では容易に身体を動かすことができます。ですから身体に負担を
かけずに筋肉を動かすことが出来、リハビリ効果も高いと言われて
います。また、真水より水圧が高いので、末梢血管が拡張し、血行
や代謝が促進されます。

 タラソテラピーは、海水が33〜36℃にキープされ、体温とほ
ぼ同じなので、長く入っても冷えたりのぼせたりすることはありま
せん。ゆっくりと自分の体調に合わせて、身体をほぐしたり、運動
したりすればいいのです。

 高齢者や、身障者のリハビリや機能維持だけでなく、健康な人の
痩身や美容にも効果があります。さらに生活習慣病予防や、介護予
防の観点から医学界からもおおいに注目されていると言うわけです。
 さらにミネラルを含んだ海水粒子には、自律神経の調節補助や、
リラックス効果があることが知られています。タラソテラピーは心
と身体の両方をいやしてくれる、しかも、どんな人にも優しい、ま
さにユニバーサルデザインそのものの施設です。

 海水を利用する都合上、海に囲まれた日本では、設置しやすく、
利用しやすい健康施設の一つと言えますね。