動脈硬化について
院長 熊谷利信

 循環器の病気というと皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。高
血圧症、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、心臓弁膜症などなど
・・・。
 いろいろな病気がありますね。これから何回か循環器のことにつ
いて書きたいと思いますが、今回のテーマは循環器の病気と深い関
係にある動脈硬化についてです。

「動脈硬化」とは難しく言えば、病理学的に粥状動脈硬化、細小動
脈硬化、中膜硬化などがあるのですが、私たちにとって重要なこと
は、動脈硬化がありますと血管の障害が起こるため、様々な重大な
病気が起きてくる、ということなのです。つまり、動脈硬化により
狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳梗塞などの恐い病気に罹
る危険性ある、ということです。

 動脈硬化にはそれを悪化させる様々な要因が考えられておりまし
て、それらを危険因子と呼んでいます。危険因子には肥満、高脂血
症、高血圧、糖尿病、喫煙、ストレス、高尿酸血症などがあり、動
脈硬化、さらには心筋梗塞や脳梗塞を防ぐためには、その危険因子
に対してなんらかの対策をとらなければならないのです。

その対策には食事療法、運動療法、薬物療法などがありますが、基
本となるのは食事療法で、食事療法が不十分ですとせっかくの薬の
効果も半減するといわてれおります。

ポイントは…
1.多様な食品で栄養バランスを考えてとること。(1日30食品。
  主食、主菜、副菜をそろえて)

2.日常の生活活動に見合ったエネルギーをとること。

3.食塩をとりすぎないようにすること。(食塩は1日10グラム以
  下。調理 の工夫で無理なく減塩)

4.脂肪は量と質を考えてとること。(動物性の脂肪より植物性の
  油を)

5.家族とのこころのふれあう楽しい食生活を。

さらには、禁煙やアルコールを飲み過ぎないこと、運動療法ももち
ろん大切です。そして、高血圧症や高脂血症、糖尿病などで薬物療
法が必要な方はきちんと治療を受け、それを継続することが重要な
ことだと思います。