「酸化ストレスについて」
院長  熊谷 利信

 いきなり、「酸化ストレス」といわれても、一体何のこと?と思
われるかも知れませんが、前回まで述べてきた生活習慣病とも深く
関わっているのです。

 人間が生きるためには酸素が必要なわけですが、その酸素は体の
中で、主にエネルギーを作るのに使われます。
その途中で一般に活性酸素といわれるものに変化します。
正常な状態では、抗酸化という機序によりすみやかに除去されます。
しかし、活性酸素の産生が除去に比べて多くなる状態が起こること
があり、このことを酸化ストレスといいます。

 酸化ストレスにより、細胞や組織または遺伝子などの障害が起こ
るのですが、老化や癌、動脈硬化、高血圧、糖尿病合併症など様々
な病気との関係が注目されています。

 生活習慣病の発症の要因には遺伝的なもの、生活習慣によるもの、
環境によるものなどがあります。ですから、百パーセント酸化スト
レスだけが原因ということではないのですが、悪影響を及ぼしてい
るのは確かなようです。

生活習慣のなかでは喫煙、飲酒、不規則なあるいは不適切な食生活
によって簡単に酸化ストレスが増えるといわれています。

 食生活について言えば肉、野菜、海産物、魚、牛乳等をバランス
よく、また適量を摂取することがいいようです。その中で抗酸化物
質をきちんと摂ればいいのではないでしょうか。
 抗酸化物質としましては、代表的なものが、ビタミンE、ビタミ
ンC、カロチノイド(βーカロチンなど)、ポリフェノールなどが
あります。

 ポリフェノールといえば、この頃赤ワインが有名ですが、大きく
はフラボノイドとノンフラボノイドに分けられます。フラボノイド
にはお茶やココアに含まれるカテキン、大豆に含まれるイソフラボ
ンなどがあります。また、紅茶、タマネギ、リンゴなどにも含まれ
ています。

 また、前回まで述べてきました適度な運動も大切です。
運動は酸素をたくさん摂るから毒だという説もありますが、トレー
ニングをすると抗酸化機能も高まるということが分かってきており
ます。運動の効果によるプラス面を考えると徐々にトレーニングし
ていった運動は非常に良いということだと思います。

 健康のために、酸化ストレスを増やさないような生活を心がけて
みてはいかがでしょうか。