「脳ドック」について
理事長
熊坂 義裕

 磁気共鳴映像(MRI)や磁気共鳴血管撮影(MRA)の飛躍的普及、
ならびに高齢化に伴う脳卒中や痴呆への高い関心から、「脳ドック」を
行なう施設が急速に増えてきた。
 脳ドックは日本だけで行なわれているが、病気の早期発見と予防とい
う点で期待されている。

 しかし、一方でその精度や施設間の検査内容のバラツキ、発見された
異常への対処法が十分に確立されていないなどの問題点も多く指摘され
ている。 日本医科機械学会にて、副院長と(6月7日、横浜)  脳ドックで
発見される異常としては無症候性脳梗塞、未破裂脳動脈
瘤、無症候性脳血管閉塞あるいは狭窄、その他の器質的脳疾患(脳腫
瘍など)がある。

 このうち無症候性脳梗塞はかなりの頻度で発見されるが、この場合
には症候性脳梗塞を発症しやすいので、特に高血圧や糖尿病などの基
礎疾患を有する場合には、厳重に治療しなければならない。

 また、未破裂動脈瘤に関しては、発見されれば原則として手術とな
るが、手術が行なわれない場合でも定期的な通院が必須である。
 しかし、脳ドックで発見される異常の大多数はすぐに対処しなけれ
ば致命的となる性質のものではない。またその病的意義がはっきりし
ないものも多い。逆に脳ドックの普及によって今まで不明だった知見
が集積され今後その意義が明らかになってくるものと期待されている。
 最近とみに希望者が増えているこの脳ドック、実は始まってまだ10
年しかたっていない。

しかも、そのあり方を巡ってはいまだ議論が絶えない状況である。
 もしあなたが、脳ドックを受けてみたいと考えるならば、とりあえ
ずは、良心的な脳ドックが行なわれている施設であるかどうかを、慎
重に検討して選択することが。重要です