『高脂血症について2』
院長  熊谷 利信

 前回、「動脈硬化性疾患診療ガイドライン2002」につきまし
て簡単に説明しましたが、今回は少し補足したいと思います。

 1997年の「高脂血症診療ガイドライン」との基本的な違いは
冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)をはじめとする動脈硬化疾患に対
する高脂血症以外の重要な危険因子(リスクファクター)にも十分
な配慮をしたことです。そして、それらの危険因子が重積したマル
チプルリスクファクター症候群を強調した点です。

 例えば、あるデータでは、LDLコレステロールが同じ値でも、
他の危険因子(喫煙、高血圧、糖尿病)がない人に比べて、一つあ
る人は二倍、二つある人は四倍三つある人は八倍危険であるという
結果が出ています。高血圧では、どの年齢層でも血圧が上がれば上
がるほど循環器疾患による死亡率が上がることが示されております。
 糖尿病の方は糖尿病がない人に比べて冠動脈疾患の危険が三倍と
言われております。糖尿病にならないような生活習がよろしいでし
ょうし、糖尿病の方はコントロールの評価としまして優か良を目標
に頑張って下さい。

 さらに、別な危険因子としましては加齢、冠動脈疾患の家族 歴、
低HDLコレステロール血症などが挙げられています。

 加齢に関しましては、冠動脈疾患による死亡率は、男性では四十
五歳前後、女性では五十五歳前後を境に上昇すると言われておりま
す。年をとるのは避けられないことですから、その他の危険因子を
減らすこと、あるいは増やさないことが大事なのです。

 それではどうしたらいいの?ということになりますが、まずやる
べきことは生活習慣の改善です。禁煙、食生活の改善、適正体重の
維持、身体活動の増加改善が勧められております。

少しづつでもいいですから早速、今日から取り組んでみて下さい。