「境界型について」
院長 熊谷 利信

 今年も健康診断を既に受けた方、これから受ける予定の方、(あ
るいは受ける予定のない方)いろいろいらっしゃると思いますが、
今回は糖尿病の診断における「境界型」について述べたいと思い
ます。

糖尿病の診断では、随時血糖値が200mg/d1以上、早朝空腹時血糖値
が126mg/d1以上、あるいは75g糖負荷試験で2時間値が200mg/d1以
上のいずれかが確認された場合「糖尿病型」と判定します。そ
して別の日に検査して「糖尿病型」が確認できた場合「糖尿病」と
診断します。 75g糖負荷試験の判定基準は今回は省きますが 、「 糖
尿病型」「境界型」「正常型」に判定されます。
健康診断で尿糖が出た、あるいは血糖値が少し高めだったけれど、
病院や診療所で検査を受けたら「境界型」と判定されたとします。
この時、単純に「ああ、糖尿病でなくて良かった」と安心するわけ
にはいかないのです。

 「境界型」の場合、糖尿病に準ずる状態であり、動脈硬化を促進
する状態なのです。そして「糖尿病になるおそれもある」のです。
ですから、「境界型」の場合、生活習慣の改善が重要となります。
そして、3〜6ケ月後に必ず血糖値の再検査を受けるようにしてく
ださい。

また高血圧、高脂血症などがあり、生活習慣の改善によっても、
改善が認められない場合には薬物療法も考慮する必要があります。
とにかく、定期的に通院して、検査を受けることが大切だと思いま
す。

 「生活習慣の改善」により糖尿病への進展を予防することが大事
であり、そしてもし糖尿病へ移行した場合でも早期に発見したいも
のです。

「境界型」のなかでも特に75g糖負荷試験で2時間値の高い方(170
〜199mg/d1)は、糖尿病型へ移行する率が高く、動脈硬化の発症の
危険が高いと言われております。
動脈硬化の危険因子(高血圧、高脂血症、肥満、喫煙など)を積極
的に取り除く必要があるのです。