1 「トリプルX」 監督:ロブ・コーエン 製作:リール・H・モリッツ
出演:ヴィン・ディーゼル、アーシア・アルジェント、マートン・チョーカショ、サミュエル・L・ジャクソン
  監督のロブ・コーエンはヴィン・ディーゼルなどの若手を起用した「ワイルド・スピード」の監督としても知られる監督である。「ワイルド・スピード」は昨年観た映画だが、改造日本車がギンギン走り回る、車好きにはたまらない(面白い映画)だった。パンフレットで知ったことだが、リール・H・モリッツという人が「ワイルド・スピード」の製作者としても名を連ねている。そんな男臭い3人がものすごいアクション映画、「トリプルX」を創った。早々と公開1週間前の先行上映で観て来た。
 シュワルツァネッガーやスタローン、ブルース・ウィリスなど、ハリウッドのアクション・スターは高齢化しつつある。東西冷戦が消え、007などの秘密諜報部員の存在価値も以前ほどなくなってきている。そろそろアクション映画の新しいシークレット・エージェント像、新しい、若さ溢れるヒーローの登場が待たれていたのだ。
 そんな時、さっそうと登場したのが、スキンヘッド、破天荒なアウトロー・ヒーローがヴィン・ディーゼルである。身体をはったアクションで、アクション映画はこうでなくちゃといった荒唐無稽なアクションシーンで観客のど肝を抜く。冒頭で見せる車ごと橋からのダイビングではスローモーションでヴィン・ディーゼルの信じられない動きを見せる。もちろんCGも使っているだろうが、最初からすごいシーンである。
 モーターバイクを使ったアクションも半端ではない。オートバイが空を飛び、屋根を飛び越えるのだ。ヘリコプターからマシンガンで乱射されたってちっとも弾は当たらない。擦り傷はおろか全く血を流さない。ヒーローはこうでなくちゃ。雪崩から逃げ回るスノーボードの疾走シーンもこれでもかというぐらい、すごい、すごい。雪崩のシーンは「バーチカル・リミット」もすごいと思ったが、この映画では時間も規模も「バーチカル・リミット」を越えていた。
 そして、ラストの核兵器を積んだ船?と車のチェイスや、車からその船に乗り込むシーンなど、細かいことの詮索はなしよとばかりにアクションが冴え渡る。有無を言わさずヴィン・ディーゼルは突っ走る。やっぱり映画はアクション映画に限るな、と思わせてくれた作品であった。

「ハリー・ポッターと秘密の部屋」 監督:クリス・コロンバス
出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ケネス・ブラナー、トム・フェルトン、リチャード・ハリス、マギー・スミス、ルビウス・ハグリット
 ハリポタ現象という言葉まで生み出した超話題作である。パート2が第1作を超える大ヒットとなるのはあまりないと思うのだが、ハリーポッターに関しては初日からの観客動員数等、軽く第1作を超えているという。映画館はどこも大盛況。開演20分ほど前に行ってもすでに立見席の状況(名劇)だった。名劇より30分遅れ開演の東映で見る(吹き替え版)。
 映画は2時間くらいがちょうどいい長さだと思うが、この作品は2時間41分。長すぎる。いろんなエピソードを押し込み、てんこ盛り状態だ。飽きることはないのだが、最初から最後まで子ども向きの冒険ファンタジーである。大人の鑑賞には少々耐え難いと思う。館内はほとんど(8割ほどか)小中学生だったようだ。
 「賢者の石」から1年後、それぞれ少し成長したダニエル・クリフなど魔法学校の子ども達がとてもかわいい。ハリーとコンビを組んで活躍するロン・ウィズリー役のルパート・グリントの引きつった顔の表情がいい。すでにもう名役者だ。彼が運転して空を飛び回るポンコツ自動車のシーンは楽しいよ。エマ・ワトソンの美しさはこの先(将来)恐るべし。ハリー達と対立するグループのボス役のトム・フェルトンはレオナルド・デカプリオばりにクールだ。
 クディッチの試合シーンは前作よりスピードアップしており迫力満点である。高速でのゲーム感覚で見る分にはいい。「スターウォーズ」を十分に意識して作ってあるなと思う。そう言えば、空飛ぶ自動車は「チキチキバンバン」、女子トイレのゴーストは「トイレの花子さん」、モンスターに追われて自動車が空に飛び上がるのは「E・T」、巨大なクモやヘビなどとのチェイスは「ジュラシック・パーク」を意識させる。ヒット作のいいとこ取りか。

3 「ザ・リング」 監督:ゴア・ヴァービンスキー 出演:ナオミ・ワッツ、マーティン・ヘンダソン、デイヴィッド・ドーフマン
 日本のヒット作をハリウッドでリメークした作品というと、真っ先に思い出されるのは「ゴジラ」である。日本版のゴジラとは似ても似つかぬ爬虫類ゴジラだった。それがニューヨークを破壊しながら疾走するという映画で自分は十分に楽しめたが、一般には失敗作のB級映画とランク付けされているようだ。
 その他、日本の「七人の侍」や忍者もの、座等市などの映画がアメリカでリメークされた。どれもがリメークとは言えども、良くも悪くもハリウッド的味付けが濃すぎ、設定だけを借りた全く別物という映画が多かったと思う。
 その点でこの「ザ・リング」は正真正銘の日本映画「リング」のハリウッドリメークバージョンである。ストーリーも設定も、ビデオの中身も、山小屋も古井戸も、ほとんどが本家本元の「リング」そのものである。古井戸から出てきた女がテレビから出てくるショッキングシーンもそっくりだ。薄幸のその女の名前は「リング」では貞子、「ザ・リング」ではサマラである。サで始まる3文字の語感まで似ているではないか。
 違うところはラストが少し、古井戸での二人の役割、フェリーで馬が走り回るシーン、ぐらいか。怖いシーンが随所にあるが、ラスト近く、元・夫(マーティン・ヘンダソン)の惨殺シーンで何故かカメラアングルが急に変わりナオミ・ワッツの驚愕の表情を写しだすのは何故だったんだろう?

4 「狂気の桜」 監督:薗田賢次 出演:窪塚洋介、高橋マリ子、RIKIYA、須藤元気、原田芳雄、江口洋介
 白い戦闘服で身を固め、渋谷を闊歩する山口(窪塚洋介)、市川(RIKIYA)、小菅(須藤元気)の3人は自らをネオ・トージョーと名乗り、中途半端な不良どもを渋谷から排除するために喧嘩に明け暮れる毎日を送っている。やがて山口は不思議な雰囲気を持つ女子高生(高橋マリ子)と知り合う。このあたりまではテンポも良く3人の筋の通った悪ぶりも見ていて気持ちがいい。
 山口は戦闘服姿でない時も真っ白のフード付きジャージ姿である。シルベスタ・スタローンのロッキーも着ていたようなフード付きジャージ(ロッキーの色はグレイだったと思うが)であるが、白色へのこだわりは従来の悪=黒への反発か。
 やがて市川と小菅が右翼の暴力団の縄張り争い?に巻き込まれ利用される。この後半部は昔の東映やくざ映画のルーティーンである。何度も見てきたような展開にちょっと期待はずれ感が大きい。
 ラスト近く、白い小石を敷き詰めた石庭の真ん中にある大きな桜の木が満開となる。そこでの切腹や殺陣、別れのシーンは確かに美しい。だが昔の時代劇ややくざ映画によく登場するようなシーンはこの新しい感覚の現代劇では似合わないと思う。歯の浮くような白々しさを感じる。定番、又かと辟易するのである。なんとも古臭い、大げさな形式美であると思う。
 ラストのラスト。クレジットロールが流れ席を立る観客も多いのだが、そのクレジットロールが終わった後に山口の本当のラストが待っていた。あれ、何で?と思う。あんなラストのラストがある映画も珍しいと思う。