ドリームキャスト クロックアップ


  自宅で 「セガラリー2ができる!」 と、喜んでソフトとドリームキャスト(以下 DC)を同時に購入したのが、ソフト発売すぐの99年2月のことでした。

3ヶ月ほど遊んでいましたが、途中でいつの間にか飽きてしい、部屋のガラクタの中に最近まで埋もれていました。

シンプルなタイトルで、夜の走りを彷彿させます。  
  雑誌での紹介を見て気になってましたが、ネット仲間の話を聞いているうちに、ムラムラと来たのが、「首都高バトル2」です。(笑)
 
発売から既に1ヶ月経過していて金欠もあって、中古品を先月手に入れました。
やりはじめると、画面もきれいで改造した プットペダル付きレーシングコントローラ を使って毎晩走っていました。(^^ゞ

  ただ、やり込むにつれて気にかかることが出てきました。
 
1.プレイ中、コースデータをCDから読み込むときに一瞬止まってしまう。
2.ハードの能力が足りないのか、ソフトが重いのか コマ落ちが発生 する。

1.はメモリ搭載量の関係で仕方ないことですが、2.は問題です。
リプレイ画面での、画面の車の数が3〜4台以上になった時の見事なコマ落ちは何とか我慢できますが、プレイ中でも車の台数が多かったり、陸橋の下をくぐる時、柱の数が多い場面(オブジェが多い場面)でがっくりとコマ落ちが発生するのは残念です。(タイミングが合わず、柱に激突することが何度も....。←単に下手?
ソフトのデモプレイでも各所に見られます。

これらの対策は、パソコンの場合は、ビデオカード交換、CPU交換、メモリー追加、HDD増強など、方法はいろいろできますが、DCの場合は、完成品扱い(コンシューマー機)なので、強化はできません。

私のDCは初期型「買い替えか?」と思いましたが、最近購入した知人のDCでも症状は同じでした。
(私の購入した、初期型プレイステーションは、マイナーチェンジが数回あり、新しいモデル(PS2ではありません)は処理速度が向上していました。PS-ONE は不明。)

  スムーズなプレイのためには「クロックアップしかない!」と思いましたが、ネットで調べても見つかりません。
ならば、私が...と思い、不安はありましたが、今回の改造に踏み切りました。

いろいろ試行錯誤の末うまく行きましたのでレポートします。(前置きがちょっと長すぎましたね。(^^ゞ)


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** 以下の改造を行った場合、メーカー保証は無くなります。 **
** また、改造でうまく行かない場合も、責任は持てません。 **
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この段階では、まだきれいな机の状態でしたが...
分解前の写真です。(まな板の上の鯉状態です。(笑))

左奥にあるのが、周波数カウンタで PLL-IC や端子の計測、確認ができます。


 
ここまでくると、あきらめもつく?(笑)
  一気に分解します。

ここまでできない人は、あきらめて読むだけにしましょう...。(念のため)
 
CD-ROM・電源・メイン基板・モデム・インターフェイスボードと各パートごとに独立して分解できるので整備性(分解性・改造性?)は良好です。
 
もう少しメモリが欲しいところです。
  DC基板のアップです。

ネットでいろいろ分解写真を見ましたが、製造時期によって若干レイアウトは違いますが、ほぼ同じようです。

中央の大きいチップがビデオ Power VR2、その右側のやや小さいチップが CPU SH-4 です。

DCの電源基盤も調べると、12V・5V・3.3V とパソコン並みです。
(パソコンの電源には、3.3V はありませんが、マザーボード上で作られます。)

ネットでいろいろ探した結果、DCのスペックは こちら で、SH-4 の詳しい資料は、 こちら で見ることができます。
(SH-4 の資料は PDF ファイルです。全部で 750ページ! なので印刷する場合は注意が必要です!
  私は、深く考えずに会社で全ページ印刷してしまいました。気付いた時は...。(+_+))

ビデオチップは、いろいろ探しましたが、一般向けに詳しい資料は公表されていないようです。

  DCのスペックと照らし合わせて、PDF資料を見ると、この SH-4 は 33.33Mhz の入力で内部倍率 6倍 200Mhz で動作しているようです。倍率は固定のようなので、入力の 33.33Mhz を上げれば良いことになります。
(資料を見ると、クロックを動作中落とすモードがあります。Windows CE などモバイル組み込み用か?)
(プレイステーションのクロックアップの場合、音声関係もクロックアップ?してしまいましたが、SH-4 の場合、内部にタイマー関連クロックを別回路で内蔵しているので何とかなりそうです。)

  早速、基板上で、33.33Mhz のクリスタルを探しましたが見当たりません。
パッケージがQFP(ピンがチップ4辺に出ているタイプ)ではなく、BGA(ピンが出ていなく、基板とチップ下面でつながっている)ので外部クロック 入力ピン を探すのが困難でした。

しばらく眺めていましたが、よく見るとパソコン場合と同じで、PLL-IC を使っています。

PLL-IC 部。ここが基準になっています。
  ここが、問題の PLL-IC 部のアップです。

周波数カウンタで調べると、13.5Mhz のクリスタルで発信した信号が、分周されて増幅され、33.33Mhz 54.00Mhz が作られています。
(単なるクリスタル変更では、33.33Mhz 54.00Mhz 両方とも 連動して周波数が変ります。
 
これを調べるために、周波数カウンタを購入したのであった...(^^ゞ
分かりやすく図にすると、こうなります。
(他の詳しいことに関してネットで調べましたが分かりませんでした。カスタムICのようです。)

ここまで分かれば、詳しい方なら簡単かと思います。
 
いつのまにやらこんな数になってしまいました。
  今回用意したクリスタル・オシレーター群です。
(周波数が可変できるオシレーターがあればベストです。)

いろいろ遊んでいるうちに増えてきました。(笑)
新規に購入したもの、ジャンク品から外したもの等など...。

パソコンの場合、一般的にゲームなどの処理速度を上げるためには、
 
 @ CPU の周波数を上げる。
 A ビデオチップの周波数を上げる。
 B メモリ関連のアクセススピードを上げる。

@ は単純明解です。A に関しては、意外に知られていませんが効果的です。
B は@ に関連しますが、パソコンと違ってDCは、容易ではありません。
(@ に連動して上がることになります。)
 
電源を暫定的に接続して動作中...
  一時的に、PLL-IC の足上げをして別のクロックを入力してみます。

PLL-IC 部 は、ちょうど電源部の真下になります。
テストごとの電源脱着は面倒なので、基板コネクタから臨時コード接続をします。
これでテストが、かなり楽になります。

  54.00Mhz のビデオ関連と思われるクロックの代わりに、60Mhz を供給します。
 
電源を入れてみると何とか動いているようですが、画面が流れてしまいます。(音声は正常)
やはり、ビデオ信号の周波数も連動して上がってしまったようです。
パソコンモニターのように周波数追従がTVはできないので、この方法は断念です。
(別売 VGA−BOX 経由でパソコンモニタに接続すれば映るかもしれません。)

  次に 33.33Mhz のCPU入力クロックに、36Mhz を入力してみます。(36.00Mhz × 6 = 216Mhz 動作)
 
この状態で、とりあえず問題なく動くようです。(音声も正常)

  予備実験の結果、クロックアップの方法が2つ考えられます。
 
 A 33.33Mhz を遮断して別のオシレーターから直接CPUにクロックを供給する。
 B PLL-IC クリスタル変更で間接的にCPU用クロックを変更する。
   (54.00Mhz を遮断して、オシレーターからビデオ関連に54.00Mhz 供給)

今回は、部品数が少なく単純な A の方法を取ることにしました。

  ここで問題です。CPUに供給するクロックを いくらにするか です。
パソコンの場合は、限界まで上げて確認後、少し余裕を持たせたクロックにします。
 
DCの場合、処理が 重いソフトがスムーズ に動けばそれでOKなので無理に動かす必要はありません。
 
パソコンの場合、新しいソフトは高スペックをどんどん要求しますが、DCの場合 ハード能力は固定 です。
(重過ぎるソフトは、ゲームにならないので、ソフトメーカーは出荷できませんし、調整してプレイに支障ない程度にします。)
 
画面がきれいで、動きがスムーズというのは、いつの世でも相反する要求なので、ソフトメーカーは調整に苦労する訳ですが、画面が動きがよくても見た目が地味では、ライバル機・ライバルメーカー にシェアを取られるので、少々目をつぶって発売しているのが現状です。

今回、「首都高バトル2」 がストレスなく動くレベルが目標です。

この足上げ作業で、ピンを折ってしまうとやっかいなことになります。
  クロックを決定するために PLL-IC のピン足上げ処理を固定します。

足上げした PLL-IC のピンと、基板のパターンにコードを付けます。
半田付けだけでは強度に不安があるので、ホットボンド でコードを固定します。
(一般的な、コードの 撚り線は危険なので、必ず 単芯コード を使います。
試験中。かなりの高回転で、ちょっとびびります。(^^ゞ
  クロックを決めるために、CD-ROM を接続して実動作チェックを行います。
(動作中は、CD-ROM が予想以上に 高回転 するので注意が必要です。)

処理が重いリプレイは、ビジュアルメモリにSAVEしてなかったので誰でも?確認できる電源投入直後のデモプレイで確認します。



デモプレイ画面1−1デモプレイ画面1−2デモプレイ画面1−3
 
  1回目のデモ開始直後のシーンです。(デモ開始 8秒後〜)
 
直線でFDが NSXと接触後ダッシュ(後方 スープラ)して行くシーンです。
画面の台数が多い時コマ落ちが発生しています。台数が少なくなるとFDの描写がスムーズになっています。

デモプレイ画面2−1デモプレイ画面2−2デモプレイ画面2−3
 
  2回目のデモ開始直後のシーンです。(デモ開始 8.5秒後〜)
赤いR32 GTRと青いR-34 GTR の前でタクシーがふらついて(後方 インプレッサ)、その左横を通過しますが、タクシーが出ている画面ではコマ落ちがあり、画面からタクシーが消え台数減ると処理がスムーズになります。
 
以上は、ノーマル( 33.33Mhz×6=200Mhz )の動作です。
これ以外にも同じようなシーン(車の台数が多くなるシーンから少なくなるシーンへのつながりの部分)が各所に見られます。


  さて、36.00Mhz を供給して同じシーンを見ます。( 36.00Mhz×6= 216Mhz
どちらのシーンもだいぶスムーズになっていますが、2回目のデモシーンはもう少しというところです。

  続いて 40.00Mhz を接続します。( 40.00Mhz×6= 240Mhz
このクロックでは、スムーズでまったく問題ありません。(ビデオを見ているようです。おおげさ?)
 
すっかり 自己満足の世界 に入り込んでいました。
そのままながめていると...あれれ? 画面に ノイズが入り始め、止まってしまいました。

電源を切り、CD-ROM を取り去りヒートシンクを触ってみますが、かなり発熱しています。
メモリがついてこなくなったか、オーバークロックで発熱が増したようです。
いったん冷却して再度電源を入れて確認します。

  デモを見ながらボーとしていると、やはりノイズが入りはじめます。
冷却スプレーで、メモリを冷やしますがノイズは減りません。CPUを冷やすとノイズが止まりました。
どうやら 冷却 すれば、240Mhz でも大丈夫のようです。

ここで対策です。パソコンの場合、このような症状の時は、
 
 (1)クロックを少し落とす。
 (2)冷却を強化する。
 (3)CPUの電圧を上げる。(10%程度)
 
以上が対策として考えられます。

(1)は、最後の手段にします。
(3)は、電源部の改造が必要ですし、CPUを壊す恐れがあるので(2)の対策を取ることにします。

黒いゴムシートに見えるのが熱伝導シート。  
  DCの場合、CPU、ビデオチップの熱は、
  ヒートシンク → ヒートパイプ → 本体排気口(?)ヒートシンク
この順で伝わり、ファンで強制冷却されます。
オリジナルでは、熱伝導シートでヒートシンクが各チップに半固定されています。
 
今回、このシートを取り去り 直接 ヒートシンクを取り付けます。
この際、伝導効率を上げるために、熱伝導 シリコングリス を薄く塗ります。
(パソコンの世界では、常識です。)
 
ガムテープとホットボンドてんこもり。見た目は無視します...(笑)
これで熱伝導は向上しますが、ヒートシンクとファンユニットとの間に 隙間 があるのでテープ、ホットボンドで穴埋めをして空気の流れをスムーズにします。
(隙間具合は、上の写真で確認できます。)

個人的には、もっと大きいフィンを付けたいのですが、本体に収まりません。(+_+)
本来、CPUに直接大きいファンを付けたいところです。


 

穴あけ前のショット 穴あけの線を引いて... これでさっぱりとなりました。
 
  次に、排気口出口のフィンとケース下部を抜きます。
印を付けておいて、リューターでばっさり削ると見た目もさっぱりになります。(^^ゞ

当然 排気側 ばかりでは方手落ちなので、本体後方 吸気側?もフィンを取り去りました。
(車のエンジンチューニングの基本です。(笑))

冷却対策の効果を確かめるために、バラバラの本体を一度くみ上げます。
 

黄色の個所で固定されます。 ワッシャーは仮止め程度でOKです。
 
  ここで、問題発生です。
 
各チップのヒートシンクは、基板のシールド板の折り欠きで固定していますが、熱伝導シートを取り除いてしまった結果、2mmほどの隙間ができて固定できなくなってしまいました。
ちょっと悩みましたが、厚めのワッシャーをホットボンドで接着 して固定できるようにします。

放熱対策の効果を見るために、ケースにすべて組み込んでテストを行います。
2時間ほどの動作させましたが今度は 240Mhz 動作でも問題ありません。(^^)/



  最後の組み込みです。
部品はこれだけ... ショートしないように加工処理します。 ピンアサイン。
 
  何か問題発生の場合、ノーマルモード(200Mhz)に切り替えできるように、スイッチを取り付けます。
 
左上が取り付けする部品です。(いろいろ試行錯誤しましたが、結局この部品だけです。)
 
クロックオシレーターのピンアサインは右上の通りです。(このタイプは、4ピン仕様です。)
基板を加工してワイヤーを配線して、CD-ROM のシャーシに固定します。

追加基板のとりつけ。基板加工、CD-ROM シャーシ穴あけが結構面倒です。 これで、完璧?
 
  取り付けは、現物あわせで行います。
スイッチは、本体外から操作できるようにとも考えましたが、動作中のクロック変更は誤動作の元 です。
そのため、普段は見えないように CD-ROM のふたを開けた状態で切り替えできるようにしました。(マニア好み?)

  これで、完成 です。

レゲー(レースゲーム)など コマ落ちが発生する場合は、240Mhz 動作 、RPG など普通ゲーム(変な言い方ですが) は、ノーマルの 200Mhz動作 と切り替えができる マニアックなDC? が完成しました。

これで、後は「首都高バトル2」の最終エンディングを見るだけです。(これが難しい!?(笑))


追加.

  この話が好評で、知人のDCにも施しましたが大きな問題はないようです。
問題があるとすると、ビジュアルメモリへの書き込みが やや不安定 になる点です。(読み込みはOK!)
(また、ビジュアルメモリへのアクセススピードが上がるせいか、液晶表示が一部おかしくなりますが、プレイには影響ありません。)

この問題は、私の購入したビジュアルメモリが 初期タイプ のせいかもしれませんが、最近発売になっているものでは問題ないようです。(表示は、やはりおかしいですが...。)

  他の DC の改造もしましたが、違うロットでは放熱対策をしなくても、240Mhz動作が問題ない ものもありますし、240Mhz動作が どうやっても安定しない ものがあり、ばらつきがあるようです。
(安定しないものは、クロックを押さえました。もっとも、元々 200Mhz動作仕様 なのでしかたがないことですが...。)

  一般的に CPU は、動作マージンがとってあり、10〜15% 程度のオーバークロックは問題ない場合が多いです。
私が以前、パソコンで使っていた CPU は、
  Pentium 133Mhz → 180Mhz MMX Pentium 233Mhz → 290Mhz で問題なく動きました。
(現在使用している、K6-2 400Mhz は、400Mhz以上は安定しません。(+_+))

今回の改造DCは、マージンを削った関係で 発熱 問題 で、真夏のクーラーなしの私の部屋で 240Mhz動作 は おそらく無理でしょう!(笑)(逆に、電圧、冷却対策を強化すれば 更に高クロックで動くと思います...多分。)


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