「崩壊から蘇生へ、腐敗から発酵へ」

私の公務員時代の１０年間、農業に対する疑問だらけの１０年間でした。行政の指導ではじまった　減反政策（水田に稲作をしないで他の作物をつくる）で遠野ではハウスを建て、ホウレンソウ栽培がはじまりました。１０００棟ものハウスが建てられたものの、３年間で土が崩壊するということが起こりました。ハウスの土がダメになったのです。指導は「堆肥を入れろ」「化成肥料を散布しろ」。しかしビニールハウスの環境は雨が当たらず、自然の営みがシャットアウトされた特殊な環境です。米作りが何年たっても連作障害を起さないのは、水という力があったからですが、その発想が「ビニールハウスでホウレンソウをつくる」というところでつまづいてしまいました。ハウス内は白くなる塩類集積、毎年投与される化成肥料で土はカチカチに固くなり、堆肥を入れよといっても動物のフンと尿の未分解物が入れられ、土は微生物の片寄ったものになってしまいました。 

私はそういう疑問から独自の研究をはじめました。

土作り

堆肥は植物の腐植、堆きゅう肥は、牛や豚や馬の糞尿として、ハウスには堆肥（ワラ、草、落葉など）を入れます。堆きゅう肥はカブトムシが卵を産んだものを使います。肥料は羊毛、骨粉、乾血、海水マグネシウム、魚粕、ナタネ粕、コメヌカ、炭、貝化石、ライフグリーン（石を粉末にしたもの）など自分で調合して使っています。土の微生物のバランスが大事であり、発酵型の土壌が病気を近づけることがなく、おいしい野菜づくりができます。

 水

野菜も水稲も、乳牛も健康でおいしいものをつくり出す源は「水」にあります。牛舎の乳牛が飲む水は落葉を浸透してきた沢水とを２４時間流して自由に飲むようにしています。鉄分の多い水です。水稲は水の取り入れ口にカキ殻を敷きつめ、カキ殻を通りミネラル配合と浄化した水を水田に導き入れています。野菜に使う水は大変重要です。重要な点は「抗酸化水」です。この世のものは全て酸化の方向、滅びの方向に向かいます。それに抗する水　抗酸化水を自分で作ることに研究し、現在野菜の葉面に散布する水は抗酸化水を使い、野菜の生育の状況に応じて、酢、焼酎、ニンニク、竹酢液、コーヒー、重曹、黒糖、トウガラシ等を混ぜ入れ、四季折々散布し、野菜を元気づけています。