●神風少女現る!

4th stege
今日の朝は早い!毎朝、船内放送で起床なのですが、今日は叩き起こされたという感じでした。なんせ、リエゾンで走行距離は約600kmということで朝早くからの行動となりました。舗装路でも大変な距離だと言うのに、そのほとんどが砂煙を巻き上げるダートの未舗装路、しかもバイクだ。これがどれだけつらいかってのは、バイク乗りにしか分からないところなんですが、とにかく精神的にも体力的にもつらいんです。オフロードバイクってのはツーリングモデルならまだしも、このラリーに出ているほとんどのマシンはトレールモデルやエンデューロモデルといったレースやオフロードでの走破性を重視したタイプのもので、シートは細く硬い、マシンの振動もかなりあり、尻や腰がめちゃくちゃ痛くなります。風も体全体で受けるので、天気が悪い日は最悪です。唯一の救いが、今日は快晴だという事でした。風も無いし日も照っていて暖かく、ベストコンディションと言える一日でした。
手早く朝食を済ませ(かなり飯も飽きた・・)、スタートの用意。さすがに、終盤なのでブリーフィングも朝の準備も手馴れたものです。昨日と同じ、ザルビノという小さな港町を出発なのですが、コマ図でルートをよく見るとスラビアンカまでは昨日の逆コースを走り、しかも分岐も無いようでした。ということは、何も気にせずぶっ飛ばすと言うことです。昨日までのバトルですでにゴーグルのレンズが使い物になら無くなったので、新品のレンズに交換したのですが、相変わらずの砂埃ですぐ視界が悪くなってしまいます。石のゴロゴロ混じったダートですので、一歩間違えれば転倒かパンクです。どっちも経験したくないものなのですがスラビアンカまでわずか50km、その間にすでにパンクするマシンが相次いだようです。ちなみに、オレのマシンはヘビーチューブという普通のチューブの2倍の厚さを持つチューブにスライムというゼリー状のパンク防止剤で万全の体制で望んだおかげで、ラリー中はどんなに石にヒットしてもパンクはありませんでした。
スラビアンカでは恒例の歓迎セレモニー。この辺りではかなり大きな街なので、人も建物もいっぱい。ソビエト時代、ドイツとの戦争で戦死した兵士の鎮魂碑のある広場では華やかな民族衣装を身にまとった人たちが迎えてくれました。それにしても、かなり巨大な碑なのですが、まさに共産圏を思わせるようないでだちでした。うーん、やっぱりロシアなのね。セレモニーは9時からの予定が、パンクとかで遅れるライダーがいたため、ずるずると遅くなりました。ここでもロシア時間と言うわけです。ま、警備の都合上、広場から離れることができなかったとはいえ、じっくり街と人を観察できました。路上でまったりも。それにしても女の子はキレイっすよ。と、そのなかにみょーな女の子が一人。まだ、小学生くらいの小さな女の子なのですが、なんと、額には「神●風」(←この●は日の丸の赤い丸です)とかかれたハチマキが!!(しかも上下反対に付けている所がミソ)これって結構ヤバイんじゃないの??ロシア人がその意味を知らなくて助かりました。それにしても、誰だよ、こんなものあげた奴は。どうやら、以前のラリーで手に入れたものらしい。ほかにも名前は忘れたが、3流芸能人の名前の入ったTシャツを着ていた人もいたとか。ロシアと日本の友好の大会とはいえ、余りみょーな文化を広めるのは・・・。笑えるから良いけど。
ここでのセレモニーでも民俗芸能を披露してもらいました。よく考えると、友好の大会ということで、歓迎されているようなのだけど、一方的に歓迎されるだけで、オレ達って何もしてあげていないような気がしました。これって本当に日露友好なのだろうかって、疑問に思っちゃいました。

●行けども行けどもダートは続く

さて、延々セレモニーが延びて再スタートはもうお昼でした。本日の残りの走行距離はまだ500km以上。はっきり言って気が遠くなります。しかももうお昼ですよ!日が沈む前にゴールできるんだろうか・・・。
手始めはループと呼ばれる分岐だらけの林道へ。ガレ場あり、ぬかるみあり、沢の中を走るといった変化に富んだ森の中の林道でした。木漏れ日が森の緑をいっそう引き立てて、いい感じでした。ラリーじゃなかったら、バイクを止めて沢水でコーヒーを沸かしたりカップ麺を食べたりするのですが。ちなみに、北海道やロシアなど、キツネのいる所の川の水は飲んではダメです!エキノコックスというヤバイ寄生虫がいますので。潜伏期間が5年くらい、気がついた頃には手遅れになっているとか・・。それにしても日本じゃ経験できないようなことばかりなので、みんな目の色変えて相変わらず野生の勘で地図を見ずに突き進みます。おかげで、コースの途中にあった小さなコースマーカーを見落とし、またもや山の中で4輪も巻き込んでの集団迷子。ま、これだけ人がいれば心細いって事が無いので気分的には楽なものです。林道の入り口でオフィシャルから「CPはもうすぐです」って言われたのに、結局抜けるのにたいそうかかってしまいました。
 この森を抜けると、あとはひたすらフラットダートをアクセル全開(付近で)突き進むのみ。この日のオレの最高速度はダートで120km/h!(たいてい、250ccクラスのオフロードバイクはどんなに頑張っても140km/hが最高速です)一度、この走りを経験してみてください。「コケたらただじゃ済まない」「死んじゃうかもな」ってのが頭の中をよぎります・・(風をモロに受けると首の骨が折れます・・・)。あとは、「すっげー!」を連発するのみ。北海道の釧路湿原や開陽台って所に行ったことありますか?始めて行ったとき、そのスケールの大きさに驚きました。直線道路が遥か向こうまで続いているところです。ロシアの大地は、その北海道のスケールより遥かに大きい!!直線道路なんてまじで、山の向こうまで延々続いていました。山をひとつ越えれば、またその先に同じような山の向こうまで続く道が!湿原も、草原も、とにかく大きい。驚きの連続で、ロシアの広大さを肌で感じました。それに対して、途中の村はどこも同じような作りで小さいものです(子供達が寄ってきて、さかんにウイリーを要求します)。これでも、俺達はロシアのほんの小さな一部分を走っているに過ぎないんです。こりゃ、人生観も世界観も変わっちゃいますよ。とにかく、「すっげー」を連発しながら、キリキリ走ってはマシンを路肩に止めて記念撮影。この繰り返しです。どうやら他の人達も同じ行動パターンをとっているようで、同じマシンを何度も抜いたり追い越したり。ちなみに、普通に走っていると4輪に抜かれることはまずありません。4輪を抜くときは覚悟を決めて全開にして抜きます(笑)。うーん、2輪の連中って、怖いもの知らず?無謀?爆弾野郎の集まりなのかもしれません。こうして、いくつもの小さな村を抜け、山を越え、飽きるほど(というか余りに長すぎて本当に飽きる)フラットダートを走りまくり、ゴールのナホトカについたのは夜の10時を過ぎていました。うーん、本当に何時間走っていたんだろう。さすがに、途中からは早く着かないかなぁ、って思うばかりでしたから。
この日はダートで吹き飛んだ人が数名、シケインに100km/hで突っ込んで空を飛んだサファリ1台!さすがに、サファリが空を飛んだというのにはみんな慌てました。オレの2台くらい前を走っていて暗闇だったので何が起こったかわからなかったのですが、たしかに突っ込んだ跡が・・・(当然、ブレーキ痕無し、全開で突っ込んだようだ)。マシンも人間も無傷だったのは驚き。そういや、ほんの30分くらい前、立ち寄ったバザーでサファリのドライバーのしんちゃんはオレと一緒にウオッカ飲んでいたのを思い出しました(^^;)。
 ついに明日は最終日。

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