津軽海峡冬景色

「上野発の夜行列車降りたときから、、、」
石川さゆりの津軽海峡冬景色。
阿久悠作詞、三木たかし作曲の名曲ですね。

この曲はメロディが先にあり、歌詞は後付けだったのだ!
って、御存知でしたか?

テレビで阿久悠の追悼番組をやっていて、私は、なんとなく見ていた。
作曲家の三木たかしが、阿久悠の思い出話を語っていた。
津軽海峡冬景色の話になった。

この歌は、当初はいわゆる「御当地ソング」の企画だったそうだ。
「御当地ソング」は、全国ヒットを望むのはむずかしいが
現地では、ある程度確実にヒットが望めるので、まあ堅い商売ですね。
そんな企画のひとつとして青森県の御当地ソングを作ろうという事になった。
そしてまず「津軽海峡冬景色」の題名が出来た。
そして次に作曲家三木たかしがメロディーの作曲を依頼された。
題名とメロディーが出来たので、作詞家阿久悠に作詞を頼んだ。

ほどなく、阿久悠から歌詞が送られてきた。

津軽の海の風景を歌う、あたりさわりの無い歌詞を期待していたのだが、
三木たかしは、出だしの「上野発の夜行列車」を見て唖然としたという。

津軽海峡の冬景色が、なんで「夜行列車」なんだ!
津軽海峡の冬景色らしい言葉は「竜飛岬」ひとつだけしか無い!
なんじゃこりゃ!

、、、、、

しかし、メロディーに合わせてくちずさんでみると、
不思議なほど歌詞がメロディーに合っている。

今度は、なんてぴったりなんだ!と驚いたそうだ。

テレビを見ていた私も驚きました。
(そもそも素人には、歌謡曲業界では、歌の「題名」と「メロディー」が先に出来ていて、
 それに歌詞をつける、なんて事があるんだっていう事自体が、驚きだ)
誰だって、この歌を聴いて、
まさかこれがメロディーに合わせて作った歌詞だ、なんて思わないよね。
何度歌ってみても、歌詞に合わせてメロディーを作ったとしか思えない。
あまりにぴったり合っている。
作曲者の三木たかしがビックリするのも無理はない。

いまいちど歌詞をじっくり読んでみると、ジーンと来ますね。
(とくに東北人は、上野発の夜行列車と聴いただけで、、、)
なにか、名作映画の一場面のようだ。

阿久悠は恐ろしいほどの天才ですね。そしてプロフェッショナルだ。
顧客のニーズにぴったり答え、
あまつさえ大ヒットを飛ばして顧客に莫大な利益をもたらし、
そして阿久悠自身の文学的感性もありったけ注ぎ込んでいる。

すばらしい。名曲です。そして、驚きです。

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津軽海峡冬景色

上野発の夜行列車降りた時から、青森駅は雪の中
北へ帰る人の群れは誰も無口で、海鳴りだけを聞いている
私もひとり 連絡船に乗り、こごえそうなかもめ見つめ泣いていました
ああ津軽海峡・冬景色

ごらんあれが竜飛岬北のはずれと、見知らぬ人が指をさす
息でくもる窓のガラス拭いてみたけど、はるかにかすみ、見えるだけ
さよならあなた 私は帰ります、風の音が胸をゆする泣けとばかりに
ああ津軽海峡・冬景色

さよならあなた 私は帰ります
風の音が胸をゆする泣けとばかりに
ああ津軽海峡・冬景色



  
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