ピクリン酸

今回は、ピクリン酸とアセチレンとクレゾールについてのお話です。
これは、北杜夫氏が学生時代、
「ピクリン酸とアセチレンとクレゾールについて、
その、性質、製法、その他、知っている事を述べよ」
みたいな試験問題に対し、歴史的に有名な解答をしたので、
御存知の方も多いでしょう。その解答とは、
「問題を見てピクリン酸、
脇の下からアセチレン、
化学はスコンク、クレゾール」 と、いうものです。(スコンクとは、0点の事)
化学の先生は、その迷答に免じて単位をくれた、
と言うのだから随分甘いですな。
私が北杜夫氏の教授だったら、絶対に落第させます。
ピクリン酸は爆弾、アセチレンは溶接だから
まあ、知らなくてもいいとしても、
クレゾールは消毒剤だから、ちょっとねぇ。
いくら精神科と言っても一応は医者ですから、、、、

ん?どうして俺がそんなことを心配しなきゃならないんだよ。
ほんとにもう。

 ところで、このような話は大抵「嘘」の場合が多いが
本件に関する限り、99.85% 以上の確率で本当でしょう。
なぜかと言うと、昔、「私の秘密」という
NHKの人気番組に北杜夫氏がゲスト出演していて、
八木治郎アナがこの件について北杜夫氏に振ると、
彼は非常にうろたえ、
「いや、その事は、ちょっと、う、あの、その、、、」
と、何も言えなくなってしまったのです。
違うなら「違う」と言えば済む事ですから、
私は、この件は本当の事だな、と思いました。
見ていた人は、みんな、そのような印象を持ったに違いない。

 八木治郎アナが北杜夫のペンネームの話に話題を変えると
急に元気になり、饒舌に語った。
「本名は斉藤宗吉ですが
杜夫は初めは杜弐夫(とにお)だったのです。
ある時、誤植で「弐」を外され、訂正するのも面倒なので
そのままになってしまったのです。
杜弐夫はトニオ・クレーゲルのトニオから取ったものです。
若い頃、猛烈にトニオ・クレーゲルに憧れて、、、以下略」
これは初耳で、驚きました。
確かに「杜夫」と書いて、「もりお」とは、
なかなか読みにくいですからね。

う~ん、そうだったのか、、、。

  
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